中学生の数学勉強法 ~図形の証明問題編~
2019年1月18日
[2019年12月27日 更新]
中学生の数学勉強法 ~図形の証明問題編~
この時期、中学校2年生のお子さまの多くは、数学で合同な三角形についての証明問題を学習し終わり、難しいと嘆いているのではないでしょうか。証明問題というのは、これまで学習してきた数学の単元とは少しタイプが違いますよね。
今回は、図形の証明問題でつまずいてしまった中2生のための勉強法をご紹介します。
図形の証明問題が難しいと感じる理由
数学の指導を進めている際、図形の証明問題がでてくるともうお手上げ状態というお子さまを何人もみてきました。
ではなぜ図形の証明問題をそこまで難しいと感じてしまうのでしょうか。
証明問題は文章で解答しなければならない
証明問題が難しいと感じてしまう理由は、計算問題と異なり、文章で解答しなければならないからという理由がもっとも多いのではないでしょうか。
数学の多くの問題は、数字や式で解答しますが、証明問題は文章で説明して解答しなければなりません。実際に私自身も十数年前、中学校2年生で図形の合同についての証明問題を初めて学習したとき、数学でこんなにも文字を、文章を書かなければいけないのかと驚いたのを覚えています。
証明問題は、文章力が問われます。しかも、曖昧な説明ではなく、しっかりと根拠のある説明文章にして証明しなければならないため、普段から国語や社会・理科などの記述問題が苦手というお子さまはつまずきやすいといえるかもしれません。
これまでに学習した図形の知識を結集して解かなければならない
例えば、三角形の合同を証明する問題の場合、三角形の内角の和は180度であることや、錯角、同位角、対頂角など、さまざまな知識を使って説明することが必要です。これまでに学習した図形の性質をしっかりおさえておかなければ証明できません。
そのため、図形の性質について理解できていないお子さまは、証明する図形のどこに着目していいかが分からず、手がつけられないということになってしまいます。
では、図形の証明問題はどのように解いていけばよいのでしょうか。
図形の証明問題 解き方のコツ
1: 問題文を読んで分かることを全て図に書き込む
証明問題に限らず、図形問題が苦手な多くのお子さまにいえることなのですが、答案をみてみると何も書き込まれていないことが多いです。例えば、「AB//CD,AE=CEのとき」などと問題文に書かれていた場合は、問題に与えられている図に平行とイコールの記号を書き込みましょう。分かっていることをしっかりと図に書き込むことでイメージがしやすくなります。
2: 向きを揃えて図形を書き直してみる
図形の証明問題を解くためには、頭の中で図形を回転させて考える力が必要です。
そのため、頭の中で図形をイメージすることが難しい場合は、向かい合っていたり、離れた場所にあったりする2つの図形に関して、向きを揃えて書き直してみるとよいでしょう。一段と分かりやすくなるはずです。
3: 結論から考えてみる
三角形の合同を証明する問題の場合、通常は仮定(すでに分かっていること)から順に示していき、結論へ結びつけます。しかし、証明問題が苦手なお子さまにとっては、最初から順序立てて文章を組み立てていくことは容易ではありません。
物語に例えてみても、話の結末が分かっているとそれまでの話の流れが想像できてしまうということはないでしょうか。
例えば、「△ABE≡△CDEであることを証明しなさい」と結論付けられている問題の場合、どうやったらこの結論にたどり着くことができるかということを始めに考えると道筋が見えてきやすいでしょう。
ここまで、図形の証明問題について解き方のコツをお伝えしてきましたが、実際に当会に入会して証明問題の苦手を克服した生徒さんの体験談を以下に紹介します。
状況があてはまるお子さまも多いかと思いますので、ぜひ参考にしてください。
苦手な図形の証明問題を克服したSさんの体験談
Sさんは、中学校2年生の終わりに当会に入会しました。数学について、図形の証明問題をテストなどで解いたときに、書きはするけどほとんど点数がもらえていないという悩みを持っていました。Sさんは、証明以外の単元は比較的よくできていたのですが、図形の証明問題に関しては強い苦手意識を持っているという状況でした。
実際に指導を始めてみると、問題に与えられている図形のどこに着目してよいか分かっていないということや、頑張って図に書き込みすぎて訳が分からなくなってしまっている、また証明の書き方を覚えられていないという弱点が見つかりました。
そこで、当会ではSさんの弱点に合わせて3つのステップに分けて指導を行いました。
ステップ1:図形の性質、条件について復習する
Sさんは、図形の証明問題を解く際に、図形のどこに着目すればよいか分からなかったため、まずは問題を解くということから一旦離れて、図形の性質、条件についての復習を行いました。
基本的な三角形の合同についての証明問題を解くために必要な、錯角、同位角、対頂角についての復習を丁寧に行い、示された2つの三角形から三角形の合同条件を見つける練習も行いました。
図形の性質や条件について復習を行うと、図形のどこに着目して問題を解き始めればいいかという悩みが解消されました。
ステップ2:証明する2つの図形を抜き出し、向きを揃えて書く練習をする
Sさんは、問題を解く際、図にたくさんの情報を書き込みすぎて自分でも訳が分からなくなってしまっている状況にあったため、問題に与えられている図から、合同の証明を行う2つの図形を抜き出し、別の場所に大きく書いて見やすくしました。この際、向きを揃えて書くのですが、対応している箇所が分からないということも見られたため、対応順にも気を付けて書く練習を繰り返しました。
最初は、図形の向きを揃えるために、元々の位置から回転させて書くことが少し難しそうでしたが、練習を重ねるうちにできるようになりました。
ステップ3:証明の書き方についてパターンを覚える
Sさんは、自分なりに努力して文章を書こうとする姿がみられていたのですが、筋道の立った説明ができていなかったり、書き方が理解できていなかったりしたため、正解に結びついていませんでした。
証明の書き方のパターンを覚えるために行ったのが、先に模範解答を見ながら練習するという方法です。
Sさんは最初、問題を解く前に解答を見ていいの?と驚いていましたが、慣れないうちは、模範解答を書き写すことから始めました。そしてこの証明がどのように組み立てられているのかを一緒に考えました。
何度も繰り返しているうちに、Sさん自身で証明がどのように組み立てられているか説明できる問題も増えてきました。書き方のパターンが頭に入ってくると、Sさんは解答を見なくても証明が自分で書けるようになっていったのです。
このように、学生家庭教師会ではお子さま一人ひとりの苦手に合わせてマンツーマンで指導を行わせていただきます。
Sさんは、学校のテストでも図形の証明問題について点数がもらえるようになり、非常に喜んでくださいました。
気になった方は、無料体験学習も行っておりますのでお気軽にお問合せください。
中学生の数学 図形の証明問題勉強法 まとめ
最後に、上記に紹介したSさんのように困っているお子さまへ、図形の証明問題についておすすめの勉強法は以下の通りです。
- 図形の性質、条件について復習する
- 証明する2つの図形を抜き出し、向きを揃えて書く練習をする
- 証明の書き方についてパターンを覚える
証明問題は頑張って書いてはみるけれどなかなか点数がもらえないというお子さまには、模範解答を見て真似しながら書き方のパターンを覚える勉強法が特におすすめです。
図形の証明問題は、数学のなかでも苦手なお子さまが多い単元です。しかし、高校入試にはよく出題されるうえに、配点の高い問題になっています。
習い始めのこの時期に、今回紹介した勉強法を実践し、解き方のコツをつかんでおきましょう。